ソクラテスの「無知の知」という言葉があります。これは、自分が何も知らないということを知っている、つまり自分の知識の限界を認識していることが真の知識であるとする考え方です。すべてを知っているかのように振る舞うのではなく、むしろ自分の無知を認めることが大切だとする考え方です。今回は、この「無知の知」について考察してみたいと思います。
無知の知とは
「無知の知」という言葉は、古代ギリシャの哲学者ソクラテスが提唱した概念です。ソクラテスは、自身が「何も知らない」ということを自覚することが、真の知識に至るための第一歩であると考えました。彼は、自分の無知を認めるからこそ、傲慢さや思い込みを排し、学びの姿勢を持ち続けることができると説きました。この考え方は、日々直面する問題や課題においてとても大切であり、特に複雑な法律や手続きに関わる場面では常に心掛けなければならないものです。自分の知識の限界を認めることで、新たな知識や洞察を得るきっかけにしたいものです。
知らないことを知ることで道が開ける
相続や終活に関するご相談に来られる方々は、制度や手続きに対して多くの不安や疑問を抱えています。たとえば、親が認知症となり、これからの生活や財産管理について不安を感じている方も少なくありません。そのような時に、「自分は何も知らない」という事実を受け入れることが、実は問題解決の第一歩になることが多いのです。知らないからこそ、本やネットで調べることになります。 先日、あるご相談者が、自分がいかに無知であるかを痛感したとお話しくださいました。その方は、その無知を認め、ご自身で調べ、その上で私たち専門家の助けを求め、最適な解決策に辿り着くことができたとのことです。漠然とした思い込みの知識ほど怖いものはありません。知識の限界を認識し、専門家とともに進むことが、新たな道を開ける第一歩でもあります。
自分自身への問いかけ
この「無知の知」という考え方は、私自身にとっても非常に大切なものです。日々、ご相談者の方々と向き合う中で、私自身がすべてを知っているわけではないと気付く事も少なくありません。しかし、それを受け入れ、自分が知らないことを認めることで、立ち止まり、考え、そして学び続ける姿勢を持ち続けることができています。ある日のこと、難しい質問を受けた際に即答できなかったことがありました。自分の無知を認めるのは決して容易なことではありませんが、その瞬間こそが、さらなる学びのきっかけとなるものです。私自身がこれからも成長し続けるために、「無知の知」を心に留めていきたいと思います。
無知を恐れず、一歩を踏み出す
「無知の知」を日常に取り入れるためには、まず、自分が何を知らないかを認識することが重要です。そして、その無知を恐れず、学ぶ意欲を持つことが大切です。私たちは、つい自分がすべてを知っているかのように振る舞ってしまいがちですが、それは間違いですし、成長を阻む要因にもなります。特に、相続問題に直面した際には、専門的な知識が必要になる場面が多くあります。そのような時には、自分一人で解決しようとするのではなく、まずは自分の無知を認め、信頼できる専門家に相談することが最善の方法です。そうすることで、より良い解決策に辿り着くことができるのです。
さいごに
「無知の知」という言葉が示すように、自分が知らないことを認めることは、謙虚さを持つことであり、成長の第一歩でもあります。特に相続や終活といった大切な場面では、無知を認めることで新たな知識が得られ、それが問題解決の糸口になります。謙虚に一つ一つの問題と向き合っていきたいと思います。