遺言執行者の報酬は、遺言書に記載された遺産分割の手続きを適切に行うために支払われる報酬のことです。遺言執行者は、遺言者の遺言書に基づき、遺産の管理・分配を行う責任があります。このため、遺言執行者は、遺言書の内容を遵守し、相続人や債権者などの権利を考慮しながら、遺産の処理を行う必要があります。遺言執行者の報酬は、そのような業務を適切に行うための対価として支払われます。報酬の支払い額は、遺産の規模や処理の複雑さ、遺言執行者が負担する労力や責任に応じて決定されます。報酬は、遺言執行者が公正かつ誠実に業務を遂行することを促し、遺言書の遵守を確保する目的もあります。
遺言で報酬を定めなかった場合
遺言者が遺言執行者の報酬を定めなかった場合には、遺言執行者と相続人との協議で報酬額を決めます。合意すれば、相続財産から報酬額が遺言執行者に支払われます。
合意ができない場合には、遺言執行者が家庭裁判所に「遺言執行者に対する報酬付与申立て」をして、家庭裁判所が、報酬を定めます。
遺言で報酬を定めた場合
遺言者がその遺言で遺言執行者の報酬を明記しておけば、遺言執行者が家庭裁判所に報酬付与の申立てをする必要もなく、相続人や受遺者と報酬に関しての争いを防止することができます。
遺言に明記する遺言執行者の報酬に関する記載例として
・「遺言執行者の報酬を金○○万円と定める」と、確定金額を定めるもの
・「遺言執行者の報酬を遺産総額の○%と定める」と、割合で定めるもの
・「遺言執行者の報酬は○○事務所の報酬規定に基づいて算出した額とする」
などがあります。
遺言執行者の報酬を払う人
遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とされています。遺言執行者の報酬も、遺言執行に関する費用に含まれますので、相続財産から支払われることになります。相続人が支払う訳ではありません。実際には、遺言執行者が、遺言執行に関する費用と報酬を遺産から取得して、残りの遺産を遺言の内容に基づいて相続人に引渡します。
遺言で報酬を定めなかった場合
遺言に報酬額が記載されていない場合は、以下の方法で報酬額を決定します。
・遺言執行者と相続人との協議:協議で合意すれば、その額が報酬となります。
・家庭裁判所の決定:協議ができない場合は、遺言執行者が家庭裁判所に「遺言執行者に対する報酬付与申立て」を行い、家庭裁判所が報酬額を決定します。
遺言で報酬を定めるメリット
遺言で報酬を定めることで、以下のメリットがあります。
・報酬額を明確にすることで、相続人や受遺者との報酬に関する争いを防ぐことができます。
・報酬が明確になることで、遺言執行者が安心して業務を進めることができます。
まとめ
遺言執行者は、弁護士や行政書士などの専門家が就任するケースが多いです。後々のドラブルを防ぐためにも、遺言作成の段階から遺言執行者の指定や報酬についても検討されるのが望ましいです。