成年後見制度には、根本的な考え方として3つの基本理念があります。これは「成年後見制度の利用の促進に関する法律」第3条に定義されています。
・ノーマライゼーション
・自己決定権の尊重
・残存能力の活用
今回は、「成年後見制度の3つの基本理念」について整理しました。
第三条 成年後見制度の利用の促進は、成年被後見人等が、成年被後見人等でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障されるべきこと、成年被後見人等の意思決定の支援が適切に行われるとともに、成年被後見人等の自発的意思が尊重されるべきこと及び成年被後見人等の財産の管理のみならず身上の保護が適切に行われるべきこと等の成年後見制度の理念を踏まえて行われるものとする。
そもそも成年後見制度とは
成年後見制度とは、判断能力(簡単に言うと、物事の良し悪しや損得などがわかる能力のこと)が不十分な認知症などの高齢者、知的障害者、精神障害者などの方々を本人の意思を尊重しながら、財産管理や契約締結を支援することによって、安心して生活ができるように、本人の権利を守る制度です。
ノーマライゼーション
成年被後見人等が、成年被後見人等でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障されるべきこと。(第3条より)
障害のある人も家庭や地域で一般の人と同じような普通の生活ができるようにすることです。そのために、バリアフリーやユニバーサルデザインなど、環境整備を整えていきます。
自己決定権の尊重
成年被後見人等の意思決定の支援が適切に行われるとともに、成年被後見人等の自発的意思が尊重されるべきこと(第3条より)
今までの強い立場の者が弱い立場の者の利益のためだとして本人の意思を問うことなく介入、干渉、支援などを行っていたことに対して、本人が自分で判断して決めることを尊重しましょうという考え方です。
残存能力の活用
成年被後見人等の財産の管理のみならず身上の保護が適切に行われるべきこと(第3条より)
障害のある人が自分らしい生活をおくるためには、本人の失われた能力に注目するのではなく、現在残されている能力を最大限に活用して生活できるようにすることが必要だということです。何でも人に任せるのではなく、本人がそのとき有している能力を最大限に活かして生活することを尊重するという考え方です。
最後に
今回ご紹介した「成年後見制度の利用の促進に関する法律」は平成28年に施行されました。比較的新しい法律です。
成年後見制度の現状は、成年後見制度の利用が必要にも関わらず、利用しないケースも多いようです。もっと必要な人が利用できるようになって欲しいものです。