お客様からご相談を受けるとき、その人が何に不安を抱いているのかを聴くことから始めます。
気がつくと、相談時間のほとんどは、私からの質問の時間です。
今回は「質問の理由」のお話しです。
上司と部下
社会人になってから、たくさんの「上司」と出会いました。
上司と部下の関係において、いろんなタイプの上司がいました。
上司の経験に基づいた一見的確(?)に見える指示を出す上司。
表面的な状況報告なので、結果オーライのときもあれば上手くいかないときもあります。上手くいかないときはイレギュラーな事態への対応が手薄になってしまうことも。
一方、状況について色々な角度から質問してくる上司。「それはどうして?」「で、どう思った?」「で、どうすればいいと思う?」「どうしたい?」
質問によって、どんどん深掘りされていく中で、自分のすべきことが明確になっていく。「AだとしたらBで対応します」「CのときはDで」
上司は最後に「よし、それで行こう!」と。不思議なことに、イレギュラーな事態が起こっても、比較的スムーズに対応ができたりします。
指示を受けるだけのときは、指示を遂行することが最優先になります。
ところが質問によって深掘りされると、それまで気にしていなかったことも思考を巡らすことができるのです。結果として真のニーズを引き出すことができ、その後の対応にゆとりが生まれます。
まさに質問は自身が気付いていなかったことも気付かせてくれるものです。
医者と患者
長い待ち時間のあと、お医者さんに症状を伝えたら、数秒で「軽い風邪ですね。お薬を出しておきましょう。では、待合室でお待ちください」って言われたらどう思うだろうか。
「もう少し自分のことを聞いて欲しい」ってなりますよね。
私には、体調がすぐれないときにいつも診察していただく、かかりつけ医がいます。
近所の内科の先生です。熱っぽいとき、おなかが痛いとき、花粉の季節など、20年以上診てもらっています。
この先生は、些細なことでも色々な方向から質問してくれます。その上で処置をして薬を処方します。
必要であれば、他の病院の紹介状を書いてくれます。
そして何より、「他に気になることは?」の一言で安心します。
たくさん質問してくれると嬉しいものです。
質問の理由1
質問によって深掘りをすることで本質を見つけたい
質問によって深掘りしていくと、ご相談のお客様は答えるために一生懸命考えてくれます。考えながら、ご自身でも気付いていなかったことに気付かれることもあります。ご自身で考えて気付いた方向性が大きな誤りでない限り、私はその方向性に全力で応援したいと思っています。
質問の理由2
たくさんの質問が安心になる
私自身がご相談者のことを、もっと知りたいと思う気持ちがあれば、いろんな質問が出てきます。そして、想いや気持ちがわかれば、その後の手続きにも事務的なものだけではなく、そこに気持ちがプラスされる気がします。
さいごに
当事務所にご相談に来られるかたは、当然ですが困ったことや不安なことや解決したいことがあって、お見えになります。
だからこそ、本質をつかむために何度も質問します。
そして、「他に気になることは?」の一言がその先の安心感に少しでもつながってくれたなら、うれしいものです。