公正証書遺言は、公証人が遺言者から遺言の内容の口述を受け、それを作成するので、相続開始後に内容や遺言能力について争われることも少なく、原本が公証役場に保管されるので、改ざんや偽造の心配もなく安心です。
この公正証書による遺言は、証人2人以上の立会いが必要になります。 この証人の役割と資格について整理します。
証人の役割
公正証書遺言は、公証人が遺言者の口述を筆記して作成する遺言です。遺言者の意思を正確に反映させるために、証人の立会いが必要です。証人には幾つかの役割があります。
・遺言者に人違いや遺言能力の確認
遺言者が本人であるか、自分の名前や住所を正しく理解しているか、遺言の内容を理解しているか、遺言を作成することに後悔や不安はないかなどを確認します。
・公証人による筆記の正確性の確認
遺言者の遺言内容と、公証人の口授と筆記した内容に間違えがないか確認します。
・遺言の内容の承認
遺言の内容が遺言者の真意を反映していることを確認します。
証人になれない人
・未成年者
充分な判断能力はないため証人になれません。
・推定相続人・受遺者およびその配偶者・直系血族
将来、相続人になる可能性のある人は公正さを保てないため証人にはなれません。
・公証人の配偶者・四親等内の親族・書記・使用人
公証人に近しい人も公正さを保てないため証人にはなれません。
その他、「証人の役割」から見て、署名ができない方や、筆記が正確であることの判断能力がない方は控えたほうがよいです。
証人の選び方
証人は2人以上の立会いが必要です。友人や知人に頼むことも出来ますが、遺言書を作ることを知られたくない場合や、遺言の内容を知られたくない場合は、充分に考慮して信頼出来る人に依頼したいものです。
ご自身で証人を見つけられない場合は、公証役場で紹介してもらうことができます。
行政書士などの専門家に遺言のサポートを依頼する場合は、その士業の方に証人を依頼することが多いです。士業には守秘義務がありますので、遺言の内容が知られることもなく安心です。