遺言書は「財産が多い人だけが書くもの」と思われがちですが、実際にはそうではありません。私がご相談を受けるなかで日々実感しているのは、「遺言書を作ることは誰にとってもメリットがある」ということです。今回は、そのメリットを具体的にお伝えし、なぜ遺言書を作ることが、あなたとご家族にとって大切なのかをお伝えしたいと思います。

メリット① 相続トラブルを未然に防ぐ
遺言書の最も大きなメリットは、残されたご家族の間で起こりうるトラブルを未然に防げることです。
「うちは家族関係が良いから大丈夫」と思っていても、遺言書がない場合、小さな誤解から深刻なトラブルに発展することがあります。遺言書を作って財産の分け方を明確にしておくことで、家族の不要な争いを防ぐことができます。
メリット② 自分の想い通りに財産を残せる
遺言書があれば、自分の財産を「誰に」「どのように」残すかを自由に決めることができます。
例えば、自宅は長男に、預貯金の一部は慈善団体に寄付する、といった具体的な内容を決められます。遺言書がない場合、法律のルールに従った分配となるため、「自分の想いとは違う結果」になる可能性があります。想いを正しく実現するためにも、遺言書はとても効果的なのです。
メリット③ 家族の負担が軽くなる
遺言書を作成しておくと、相続手続きは大きく簡略化されます。
遺言書がない場合は家族同士で財産の分配を話し合う必要があり、精神的にも負担になります。特に公証役場で作る「公正証書遺言」を利用すれば、家庭裁判所での検認手続きも不要となり、ご家族の負担をさらに減らすことができます。
メリット④ 家族に自分の想いを伝えられる
遺言書は単なる法律文書ではありません。「なぜこの内容にしたのか」「家族への感謝の気持ち」などを遺言に添えることで、あなたの想いをしっかりと伝えることができます。
多くの遺言書を拝見する中で、想いが込められた遺言ほど、家族の絆を深め、相続後の良好な関係を支える力になることを感じています。
遺言書を作成する時の注意点
遺言書は内容だけでなく、形式的にも法律のルールに沿った書き方が必要です。形式に不備があると無効になり、かえってトラブルを引き起こすこともあります。遺言書の作成にあたっては、専門家のサポートを受けることも選択肢のひとつです。
さいごに
遺言書を作るメリットは法律的な部分だけではありません。自分自身の想いを家族へ確実に伝え、家族の将来を安心して見守ることができる、その精神的な安心感が最大のメリットかもしれません。
私が願うのは、遺言書の作成があなたとご家族にとって、より良い未来をつくるきっかけになることです。
ぜひ、あなた自身の大切な想いを遺言書に託してみてはいかがでしょうか。
※この記事は2022年5月10日に作成した内容を、最新情報や筆者の想いを反映してリライトしました。