栗田 政和 相続の話し合いは、家族がこれまで築いてきた関係や価値観を改めて見つめ直す場面でもあります。しかし、長い年月を共に過ごしてきた家族であっても、家族間の相続トラブル が起こることは珍しくありません。
相続に関する相談を受ける中で、多くの方が「こんなはずではなかった」「兄弟と争いたくなかった」とおっしゃいます。こうしたトラブルを未然に防止 し、円満な話し合いに導くためには、冷静さと思いやりを持った相続コミュニケーション が重要です。
本記事では、相続トラブルを防ぐために役立つ「魔法の言葉」をご紹介し、スムーズな家族の対話のヒントをお伝えします。
魔法の言葉が持つ力
相続の話し合いでは、法律や手続きの知識が必要になる場面も多いですが、それ以上にどのように家族と向き合うか という姿勢が重要です。そして、その姿勢は「言葉」を通じて表現されます。
「言葉」は家族の絆を深めるきっかけにもなれば、逆に誤解を生み対立を引き起こす原因にもなります。たとえば、兄弟間で相続の意見が対立したとき、どんな言葉をかけるかによって話し合いの雰囲気が大きく変わることを、多くのご相談の中で実感してきました。
ここでは、特に相続トラブルを防ぐために効果的な「魔法の言葉」をご紹介します。
相続トラブルを防ぐための具体的な言葉
1. 感謝を伝える「ありがとう」
相続の話し合いの中で、感謝の気持ちを伝えることは意外と少ないものです。しかし、「ありがとう」という言葉が持つ力は絶大です。
たとえば、
- 「これだけの財産を築いてくれたお父さんのおかげだね」
- 「みんなでこうして話し合えること自体がありがたいね」
といった言葉をかけるだけで、家族間の相続トラブル を回避するきっかけになります。感謝の気持ちは、相手の防衛反応を和らげ、協力的な姿勢を生むことができるからです。
2. 相手を尊重する「どう思う？」
相続の話し合いでは、自分の意見を主張するだけでなく、相手の意見を尊重することが大切です。
たとえば、
- 「あなたの考えを聞かせてもらえますか？」
- 「この点についてどう思う？」
という言葉を使うことで、相手も自分の意見を尊重されていると感じ、冷静な対話に繋がります。特に、兄弟間の相続トラブル では「自分の意見ばかり押し付けてしまう」と感じている方が多いため、対話の流れを変える一言として効果的です。
3. 未来を見据えた「これからどうしていこうか」
相続の話し合いでは、過去の出来事や感情に引きずられがちです。しかし、未来を見据えた言葉をかけることで、冷静で前向きな議論へと導くことができます。
- 「これからどうしていこうか、一緒に考えよう」
- 「みんなが納得できる形を一緒に考えてみない？」
このように相続問題の解決方法 を提案することで、感情的になりがちな場面でも冷静に話し合うことができるようになります。
言葉の力を改めて考える
過去のご相談の中で、「言葉」によって相続の話し合いが大きく変わった場面を数多く見てきました。
例えば、あるご家族では、
遺産分割の話し合いが難航し、兄弟間で対立していたが、「みんなでお父さんの思いを大切にしたいね」という一言をきっかけに、協力的な話し合いへと変わったケースがありました。
一方で、感情的な言葉が原因で関係が悪化したケースもあります。だからこそ、「どんな言葉を選ぶか」が相続の円満な解決において重要なポイントになるのです。
さいごに
「魔法の言葉」を意識することで、家族間の対話がスムーズになるきっかけをつくることができます。しかし、相続の話し合いには、感情面だけでなく、法律や手続きといった専門的な知識 も必要になる場面が多くあります。
そうした場合には、第三者の視点を取り入れることも一つの解決策です。専門家のサポートを活用することで、冷静な話し合いを促し、家族間の相続トラブルを未然に防止 することができます。
家族が笑顔で次の一歩を踏み出せる、そんな相続の形を目指して、皆さまのサポートに尽力していきたいと思います。