家族や友人から、悩み事を相談されたときにその原因を一緒に考えることが重要ですが、一つ一つの意味を考えることもときには必要です。
相続のご相談で、将来への漠然とした不安をお話しになる方も多くいらっしゃいます。そのときは、「原因だけではなく意味を考える」ことを意識します。
今回は原因と意味の違いについてのお話しです。
原因を見つけること
壁にぶつかったとき、その原因を深く追求して掘り起こし、それを紐解きながら解決していく姿勢はとても前向きで効果的です。「原因」とは出来事や問題の背後にある具体的な要因のことですから、それを特定することは問題解決の近道とも考えられます。
原因追及という言葉で思い出すのはフィッシュボーンチャートです。「魚の骨」とも呼ばれる特性要因図のことです。
特性とは現在見えている結果のことを指し、要因とはその結果をもたらすのに影響を与えた要素のことです。特性要因図は、結果である特性がどのようにしてもたらされたかを図式化して、そこに潜んでいる問題点をあぶり出すのに用いられる手法のことです。
多くの企業で取り組んでいる、品質改善や営業改善の向上のためのQC活動では、特性と要因を洗い出すための深掘りをしていきます。その深掘りから対策を考えていくというものです。
まずは、徹底的に現状把握をおこなうことからスタートし、その上で原因を見つけて対策を考えて行くというものです。
少し脱線しましたが、原因を見つけることで客観的に俯瞰することができます。
意味を見つけること
ある出来事や問題が、その人にとって何を意味するのかを考えます。
その出来事が持つ価値は、その人にとって何だろうか。
その問題はその人にとって、どのような意義があるのだろうか。
そこには、人間関係や感情が見え隠れすることもあります。そこを意識することで、潜在的なことが顕在化することもあります。
意味を見つけることで、感情や心の奥の想いにフォーカスすることができます。
意味を考えることの重要性
個別相談の現場では、全体の概要を確認したうえで、問題や課題に対してその原因を探ろうとします。しかし、原因を探ることにばかり集中していると、問題の本質を見失ってしまうことがあります。原因は、あくまでも問題の表面的な部分である場合もあり、その背後には、もっと深い意味が隠されていることがあるからです。そこで「意味を考えること」が重要になってきます。
原因を突き止め、それを解決することも重要ですが、同時に「なぜ」だけではなく「どうして」にも焦点を当てることで、本質が見えてくることがあるからです。
相続に関連した手続きや手法は数多くあります。その手続きや手法を探すために原因を見つけるのではなく、本質を理解することによって必要な手続きや手法が導きだせるように意識したいものです。
さいごに
原因を見つけることは大切です。それ以上に意味を考えることが大切だと思います。
「原因」は物事に対することであり、「意味」は人の感情に対することと置換えられるとするならば、その感情をしっかり受け止めて向き合ってまいりたいです。