先日、NHKの連続テレビ小説『あんぱん』が最終回を迎えました。
このドラマは、国民的キャラクター「アンパンマン」を生んだ漫画家・やなせたかしさんと、その妻・小松暢さんの人生をモチーフにしたドラマです。
戦後の混乱期から高度成長期を背景に、絵を描く喜びや社会への思い、そして周囲の人々との絆が描かれ、主人公夫妻が「誰かを救いたい」という思いを形にしていく過程が物語の中心となっていました。
その全編を通じて流れていたキーワードが「逆転しない正義」。立場や状況が変わっても揺るがない、人を思いやる心、そして勝った負けたという単純な線引きではなく、困っている人を助けたいという思いを守り抜くことです。
今回は、この「逆転しない正義」というテーマを通して、日々の仕事やこれからの選択を改めて考えてみたいと思います。

逆転しない正義とは
『あんぱん』の主人公・柳井嵩は、どのような境遇にあっても「人を助けたい」という気持ちを持ち続けていました。
善悪や勝敗は時に入れ替わり、立場によって見え方が変わることもあります。
それでも彼が大切にしたのは、どんな状況でも揺るがない「思いやり」。その姿は、アンパンマンが自らの顔を分けて人を救う行為に重なります。
正義とは誰かを打ち負かすことではなく、困っている人に寄り添うこと。ドラマを見ながら、そのぶれない心のあり方に深く心を動かされました。
相続・終活の現場で求められる「ぶれない軸」
相続や終活の場面では、法的な手続きだけでは解決できない心の問題がつきものです。家族の想いが複雑に絡み合い、誰の意見が正しいかを白黒つけることが難しい場面も少なくありません。
たとえば、
兄弟姉妹での遺産分割協議
高齢の親の生活をどう支えるかという判断
成年後見人として日々の支出や医療方針を選ぶ場面
どのケースも、法的には複数の選択肢があり得ます。そのとき問いかけたいのは、これから時間が経っても自分自身が納得できる選択になっているかということです。
短期的な得失よりも、家族がこれからもつながり、誰もが受け入れやすい形を目指す。 それはまさに「逆転しない正義」に通じる、ぶれない軸だと思います。
これからの選択を見つめる
『あんぱん』が示したのは、結果よりも「どんな姿勢で向き合ったか」でした。人を思う気持ちを大切に、これから先も自分が誇れる選び方ができているかを確かめていく。その積み重ねが、日々の仕事や暮らしを支える力になるはずです。
私たちはつい、目の前の成果や効率を優先してしまいがちです。
けれども、変わらない正しさを心に持ち続けることこそが、未来の自分にも後悔しない選択へとつながっていくのではないかと感じます。
立川・昭和記念公園のラストシーン
最終回のラストシーンは、主人公夫妻が手をつないで昭和記念公園の銀杏並木を歩く後ろ姿でした。
映像の中の銀杏はまだ青さを残していましたが、これから秋が深まると、昭和記念公園は黄金色へと染まり、いっそう美しい並木道になっていきます。
その光景は、物語の歩みと、これから続く二人の時間を自然に重ね合わせるようで、とても印象に残りました。
さいごに
子どもが小さかった頃、何度となく一緒にアンパンマンを見ていたことを思い出します。
その当時は主題歌の歌詞や物語の奥に込められた意味まで考えることはありませんでした。しかし今あらためて「逆転しない正義」という言葉に触れると、あの頃耳にしていたメロディーの中にも、今も変わらない温かさがあることに気づかされます。
こうした思いを大切に、これからも相続や終活に関わる方々の想いに寄り添いながら日々を重ねていければと思います。
ほいたらね