理解して選択するということ

私たちは日々、大小さまざまな「選択」を繰り返しています。どちらを選ぶか、何を選ぶか。その瞬間の判断には、それなりの理由や感情があります。

しかし、その選択が本当に「理解したうえでのものだったか」と問われると、少し不安になることもあります。

物事を決める場面では、選択肢が示されることが多くあります。選べる状態になると、早く結論を出さなければならないような気持ちになることもあります。

ただ、そういうときこそ、結論を出す前に一度整理するようにしています。

自分はきちんと理解できているだろうか。理解したうえで選ぼうとしているだろうか。大切なのは、選ぶこと自体ではなく、理解を経た選択かどうかです。そこが曖昧なままだと、決めたあとに違和感が残ります。
今回は、「理解してから選ぶ」という順番を意識することが、なぜ大切なのか。相続・後見の現場で感じていることも踏まえながら、あらためて整理してみたいと思います。

選択肢が並ぶことと、納得して選ぶことは違う

説明を聞いて「分かった気がする」と感じることがあります。

言葉は知っている。流れも追えている。だから、そのまま進めてしまう。ところが、あとになって考えると、前提や制約について十分に整理できていなかった、ということも少なくありません。

選択肢があることと、納得して選べることは別です。何ができて、何ができないのか。どこで引き返せて、どこから先は戻れないのか。そうした点を自分なりに整理して、はじめて判断になります。時間がかかるように見えても、その過程を省かないほうがいいと感じています。

相続の現場で見える、理解と選択のズレ

相続の場面では、短期間で判断を求められることが多くあります。

感情、関係性、手続き、期限。さまざまな要素が重なり、冷静に考える余裕を失いやすい状況でもあります。

その中で、目の前の不安を小さくするために、結論を急いでしまうことがあります。「早く終わらせたい」「揉めたくない」「いまは深く考えたくない」。そうした気持ちは自然なものです。

ただ、気持ちに押される形で選択が決まってしまうと、あとになって「十分に理解できていなかったかもしれない」と感じる場面が出てきます。理解が浅いまま進んだ選択は、後から振り返ったときに「別の道もあったのでは」と思い返されることがあるからです。

「理解したつもり」が判断を軽くする

注意したいのは「理解したつもり」になっている状態です。

過去の経験や、誰かの話、インターネットの記事は参考になります。参考になる一方で、「今回も同じだろう」という前提を含みやすいものでもあります。

状況は毎回少しずつ違います。表面が似ていても、背景や条件は同じではありません。だからこそ、私は「分かっているはず」という感覚をそのまま信じないようにしています。あらためて言葉にしてみる。人に説明できるかを確かめてみる。それだけでも、判断の揺れは小さくなります。

理解を重ねると、迷いの質が変わる

理解が進めば、迷いが消えるとは限りません。むしろ、迷いは残ることもあります。ただ、その迷いは、根拠のない不安ではなく、選択肢それぞれの意味が見えたうえでの迷いに変わります。

その状態で選んだ結論は、目立つものではなくても、自分の中に残ります。あとから振り返ったときに、なぜそう決めたのかを説明できます。その感覚を、これからも大切にしていきたいと思います。

さいごに

選択肢が多いほど、判断は難しくなります。だからこそ、結論を急がず、まず理解を置く。理解してから選ぶ。その順番を意識するだけで、決断の重さは変わります。

相続のように、一度選んだら後戻りできない場面ではなおさらです。

焦らず、流されず、自分が何を選ぼうとしているのかを確かめたうえで決める。私自身も、その姿勢を忘れないでいたいと思います。

相続対策は事前準備が大切です。お早めにご相談下さい。

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この記事を書いた人

栗田 政和

栗田 政和

東京都府中市出身、現在は立川市内に在住。
中央大学法学部卒。
大学卒業後、住宅メーカーに32年勤務した後独立し、
行政書士栗田法務事務所を開業。
現在は行政書士兼相続コンサルタントとして、
立川近郊の相続問題に悩む方の助けになるべく奮闘中。
趣味はバイクツーリング、温泉巡り、幕末歴史小説、プロ野球観戦。