遺言は、遺言者の意思を実現するための重要な法律行為です。しかし、遺言書を作成したときと、想定していた状況と現実が異なる場合や、遺言者の意思が変わることもあります。
そのような場合に、遺言を取り止めたいと考える場合もあります。遺言を取り止めたいときの方法について整理します。
遺言の撤回
遺言を取り止める方法として、最も一般的なのが「撤回」です。撤回とは、遺言者が新たな遺言書を作成し、その中に前の遺言書を撤回する旨を記載することです。
撤回する遺言書は、以前に作成した遺言書よりも後の日付で作成する必要があります。また、撤回する旨を明確に記載する必要があります。
例えば、次のようなものが撤回の記載例です。
「遺言者は、令和4年6月20日付の自筆証書遺言を撤回する。」
ただし、公正証書遺言を撤回する場合は、公証役場で撤回手続きを行うことが無難です。
遺言書の内容に反する行為
遺言書の内容に反する行為を行った場合にも、遺言は撤回されたものとみなされます。
例えば、遺言書である不動産を特定の人に相続させる旨を記載した場合に、遺言者がその不動産を売却した場合、遺言は撤回されたものとみなされます。
遺言書の破棄
遺言書を破棄した場合にも、遺言は撤回されたものとみなされます。
遺言書を破棄するには、遺言者が遺言書を故意に破棄する必要があります。遺言書が偶然に破れたり、他人によって破壊されたりした場合には、遺言の撤回にはなりません。
まとめ
遺言を取り止めるには、次の3つの方法があります。
1.新たな遺言書を作成し、その中に前の遺言書を撤回する旨を記載する(撤回)
2.遺言書の内容に反する行為を行う
3.遺言書を破棄する
どの方法を選択するかは、遺言者の状況や事情によって異なります。
行政書士栗田法務事務所では、遺言書の作成をサポートしています。遺言書の書き方や、遺言書の撤回方法などについて、ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。