任意後見制度とは、本人に判断能力があるとき(頭がしっかりしているとき)に、誰を代理人にして、どんなことを委任するかを決めて、公正証書によって契約し、本人の判断能力が低下してきたときに、家庭裁判所が任意後見人を監督する任意後見監督人を選任したときからスタートする制度です。
代理人について
代理人とは、任意後見契約の受任者であり、任意後見人といいます。誰を代理人にするかは、本人が決めます。本人が信頼できる家族(配偶者、子、親戚など)や専門家(弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士など)に依頼することができます。法人を任意後見人に選任することもできます。
委任の内容
どんな事務を委任するかは本人が決めます。自己の生活、療養看護、財産管理に関する事務など代理権目録を作成します。
公正証書で契約
任意後見契約は、本人と代理人候補者が公証人役場に行き、公証人が公正証書で任意後見契約書を作成します。
任意後見契約書を作成されると、公証人は法務局に任意後見契約の登記を嘱託しますので、後見登記等ファイルに任意後見契約の内容が登記されます。
任意後見の開始
任意後見契約をスタートさせるには、家庭裁判所に対し、任意後見監督人選任の申立てをします。本人の判断能力が不十分なときは、本人、配偶者、四親等内の親族、または任意後見受任者が家庭裁判所に申立てます。家庭裁判所が任意後見監督人を選任して、任意後見契約がスタートします。
さいごに
任意後見は、遺言と同様に、本人の判断能力が十分なうちに本人の意思で財産管理や財産分割をきめておくものです。違いは、生前のことは任意後見であり、死後は遺言でということです。遺言作成や死後事務委任との併用も有効です。