人によっていろいろな価値観があります。そして自分と同じような価値観を持った人と巡り会うことは極めて稀です。家族でさえ異なるのですから当然です。そもそも「価値観」とは、どういうものなのでしょうか。
今回は「価値観」についてのお話しです。
価値観とは
辞書で調べると、「価値観とは、物事や事象に対して、良い悪い、好き嫌い、重要度など、主観的な判断を下す基準」とあります。
価値観は、生き方や行動を大きく左右する重要な要素です。
例えば、「健康は人生で最も大切なものだ」という価値観を持っている人は、健康を維持するために、食生活や運動を意識し、定期的に人間ドックや健康診断を受けることを優先します。
「家族の幸せを第一にしたい」という価値観を持っている人は、仕事よりも家庭を優先し、家族との時間を大切にします。
このように、価値観によって生活が左右されるものです。
価値観の種類
価値観には、大きく分けて以下の3つの種類があります。
・個人価値観
個人が独自に形成する価値観です。家庭環境や教育、経験などによって形成されるものです。親の影響も大きいのでしょうか。
・社会的価値観
社会全体で共有されている価値観です。社会の規範やルール、文化などによって形成されるものです。日本人は礼儀正しいなど、お国柄が現れることもあります。
・専門的価値観
特定の分野や職業において共有されている価値観です。例えば、医師であれば「人命救助」や「患者の尊厳」を重視する価値観です。
内発的価値観と外発的価値観
価値観を考えるときに大切なことは、内発的価値観と外発的価値観の違いについて意識することです。これは、行動の動機付けの違いだと言われます。
・内発的価値観
内発的価値観は、自分の内部から湧き出る欲求や興味、好奇心などによって行動を起こす価値観です。例えば、自由に生きたい、誰かの役に立ちたい、新しいことに挑戦することが楽しい、などです。
この内発的価値観に基づく行動は、持続性と効率性に優れていると言われています。なぜなら、自分の中から湧き出る欲求や興味、好奇心などによって動機付けられているため、外部からの働きかけに左右されにくく、長期的に継続しやすいからです。
・外発的価値観
外発的価値観は、外部からの報酬や評価などによって行動を起こす価値観です。例えば、テストで良い点を取りたいから勉強をする、昇進したいから仕事に励む、といった場合などです。
この外発的価値観に基づく行動は、短期的な効果は見込めますが、持続性には欠けると言われています。なぜなら、外発的価値観に基づく行動は、外部からの報酬や評価などによって動機付けられているため、報酬や評価がなくなった場合に、行動を継続することが難しくなるからです。
遺言で大切にしたい価値観
遺言で大切なことは、「内発的価値観」に基づいて作成される遺言です。内発的価値観に基づく遺言は、自分の価値観を実現するために作成されるため、相続人にとって自分の利益を損なうような内容となる可能性が低いからです。
日頃私がする遺言サポートの場面では、遺言者のかたの「内面的価値観」をしっかりと理解するように心掛けています。
「何をしたいのか」よりも「何のためにしたいのか」を優先するために。
さいごに
「価値観」と混同されやすいものとして「好み」があります。好みとは、ある物事や事象を好むか、嫌うか、といった個人的な嗜好のことです。我が家では時々「あなたとは価値観が違うのよ~」って叱られます。「いやいや、好みが違うだけでしょ」と思うのですが・・