遺言書における代償分割とその進め方

相続の場面では、公正証書遺言などで「代償分割」を指定することがあります。
これは、一人の相続人が不動産や事業などの財産を相続する代わりに、他の相続人に金銭を支払うことで、遺産分割を行う方法です。
遺言書で代償分割を明記することは有効な手段ですが、進め方をしっかりと考えることが、円滑な相続に繋がります。

今回は、遺言書に基づく代償分割のポイントや、注意すべき点についてお伝えします。

代償分割で注意したいポイント

遺言書で代償分割が指定されている場合、特定の財産を一人で引き継ぎやすくなる反面、いくつか注意が必要な点があります。

・代償金の支払い条件の明確化
代償金を支払うタイミングや方法を事前に明確にしておかないと、家族間での誤解を招く可能性があります。
例えば、「いつまでに支払うのか」「一括なのか分割なのか」といった点は遺言書に具体的に記載しておくと安心です。

・税金や費用負担の確認
代償金は税金を差し引いた後の金額ではなく、総額で定める必要があります。
なぜなら、代償金を受け取る相続人はその金額を相続財産として申告し、相続税を負担する義務があります。この点については、事前に専門家に相談し、十分に確認しておくことが大切です。

・代襲相続への備え
代償金を受け取る予定の相続人が亡くなった場合、その権利が誰に移るのかを明確にしておくことも重要です。
配偶者や子どもに代償金の権利が移るのかどうかを遺言書に記載しておくと、将来的な混乱を防ぐことができます。

円滑に進めるためのヒント

遺言書に基づく代償分割を円滑に進めるためには、以下のポイントを押さえることが効果的です。

・遺言書の具体的な記載
遺言書を作成する際には、代償分割に関する金額や条件を具体的に記載することが重要です。
例えば、「代償金の金額は○○万円(総額)」や「支払い期限は○年以内」など、できるだけ具体的な内容を盛り込むことで、相続人同士の認識のズレを防ぐことができます。

・予備的な内容の検討
万が一、主要な相続人が代償金を受け取る前に亡くなった場合を想定して、予備的な取り決めを遺言書に記載しておくことが有効です。
これにより、想定外の事態にも柔軟に対応できます。

・専門家への相談
公正証書遺言の作成や代償分割の進め方については、専門家に相談することで、よりスムーズに進められる場合があります。
行政書士や司法書士、税理士などに試算や助言を依頼することで、税金や手続きに関する負担を軽減できる可能性があります。具体的な状況に応じて、専門家の力を借りることで、よりスムーズに進められる場合もあります。

家族の絆を守るために

相続は、家族の絆を守るための大切な場面でもあります。
遺言書で代償分割を指定する際には、家族全員で意見を共有し、納得のいく形を一緒に模索していくことが重要です。

適切な準備を進めることで、ご自身やご家族が安心して次の一歩を踏み出せるようになります。
迷われた際には、専門家に相談しながら進めてみるのも一つの方法です。

相続対策は事前準備が大切です。お早めにご相談下さい。

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この記事を書いた人

栗田 政和

栗田 政和

東京都府中市出身、現在は立川市内に在住。
中央大学法学部卒。
大学卒業後、住宅メーカーに32年勤務した後独立し、
行政書士栗田法務事務所を開業。
現在は行政書士兼相続コンサルタントとして、
立川近郊の相続問題に悩む方の助けになるべく奮闘中。
趣味はバイクツーリング、温泉巡り、幕末歴史小説、プロ野球観戦。