このたび、10月1日付で、最高裁判所から東京家庭裁判所の家事調停委員に任命されました。
同日、東京家庭裁判所本庁で任命式が行われました。
実は、その前日の9月30日、少し感慨深いものがありました。
私は長年勤めた会社を定年を待たずに退職し、行政書士として新たな道を歩み始めました。
「あのまま勤めていたら、今日が定年の日だったんだな」という思い。
そして、その翌日が家事調停委員の任命式。
何とも不思議な巡り合わせだと感じました。
その偶然が、これまでの自分自身の歩みを改めて振り返るきっかけとなりました。
今回は、そんな人生の節目を迎え、これまでの経験や、これから大切にしたいことについて考えてみました。

これまでの選択を振り返って
長年勤めた会社を退職し、独立することは、私にとって大きな決断でした。
会社員として積み重ねてきた経験はあっても、行政書士としての仕事は、また違った世界です。
開業当初は、初めて経験することも多く、一つひとつ学びながら仕事に取り組んできました。
その中で、多くの方々との出会いがあり、新しい経験を重ねる機会にも恵まれました。
もし、あのまま会社員を続けていたら、どのような日々を送っていたのだろうか。
それは誰にも分かりませんし、どちらの道が良かったのかを比べることもできません。
ただ、あのとき自分で選んだ道を歩み、さまざまな経験を重ねてきたことが、今の自分につながっているのは確かです。
話を聴くということ
行政書士として相続や終活のご相談に携わる中で、これまでさまざまな方のお話を伺ってきました。
同じようなご相談であっても、その背景にある事情や、ご家族の関係は一つとして同じではありません。
また、同じ出来事についても、立場が違えば受け止め方が異なることがあります。
ご相談を受ける際には、目の前にある問題だけでなく、そこに至るまでの経緯や、その方が何を大切にしているのかにも目を向けるよう心がけてきました。
もちろん、相手の気持ちをすべて理解できるわけではありません。
また、これまでの経験から、つい自分なりの答えを考えてしまうこともあります。
だからこそ、最初から結論を決めつけるのではなく、まずは相手の話に耳を傾けることが大切なのだと思います。
話を聴くことは、単に言葉を受け取るだけでなく、自分とは異なる考え方や価値観に触れる機会でもあります。
そうした積み重ねが、自分自身の視野を広げることにもつながってきたように感じています。
経験を重ねても、学ぶことは尽きない
大学を卒業して社会人となり、これまでさまざまな経験を重ねてきました。
そこで得た知識や学びは、今の仕事にも役立っていると感じます。
一方で、これまでの経験だけで、すべてを理解できるわけではありません。
だからこそ、自分の考え方や過去の成功体験にとらわれていないか、ときには振り返ることも必要だと思っています。
以前は気づかなかったことが、別の経験を通じて理解できるようになることもあります。
年齢を重ねた今だからこそ、これまでの経験を大切にしながらも、知らないことを素直に認め、新しい考え方を受け入れる姿勢を持ち続けたいと思っています。
今回の任命も、私にとっては新たな学びの始まりです。
新たな立場で大切にしたいこと
仕事や生活の中では、立場や役割が変わることで、それまでとは違った視点が求められることがあります。
会社員から独立したときも、仕事の進め方だけでなく、物事への向き合い方について考える機会がありました。
今回もまた、新しい立場での一歩を踏み出すことになります。
それぞれの役割には、異なる責任があります。
これまでの経験がそのまま通用するとは限りませんし、新たに学ばなければならないことも数多くあると思います。
また、新たな役割に向き合う中で、自分自身の視野を広げ、行政書士としての仕事や成年後見人としての職務にも、より深く向き合っていければと思います。
そして、どのような立場であっても、人と向き合ううえで大切にしたいことがあります。
相手の話をよく聴くこと。
自分の考え方だけで判断しないこと。
そして、分かったつもりにならず、考え続けること。
これまでの仕事の中で意識してきたこうした姿勢を忘れず、それぞれの立場で求められる責任を、一つひとつ丁寧に果たしていきたいと思います。
さいごに
今年、私は還暦を迎えました。
そして、かつて定年退職を迎えるはずだった日の翌日に、新たな役割を担うことになりました。
人生には、こんな不思議な巡り合わせもあるのだと感じました。
この年齢になっても、初めて経験することはまだまだあります。
これまでの仕事を大切にしながら、新たな役割にも丁寧に向き合い、自分自身の新たな可能性を見つけていきたいと思います。
