遺言は自分の財産や相続に関することを、本人の意思で決めておくものです。遺言を作成しておくと、相続のトラブルを防ぎ、自分の希望通りに財産を承継させることができます。
しかし、遺言は、法律で定められた要件を満たしていないと無効となります。また、自分の希望や状況を十分に検討して作成しないと、後々トラブルの原因になることもあります。 そこで、今回は、遺言の基礎知識と、遺言を作成する場合の注意点について解説します。
遺言とは
遺言とは、自分の死後に残る財産や相続に関することを、本人の意思で決めておくものです。遺言を作成することで、相続のトラブルを防ぎ、自分の希望通りに財産を承継させることができます。
遺言を作成するには、以下の要件を満たす必要があります。
・遺言者は、遺言を作成するに能力(遺言能力)を有していること
・遺言は、遺言者の真意に基づくものでなければならないこと
・遺言は、民法で定められた方式であること
遺言は、遺言書に記載することで作成します。遺言書は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
遺言でできること
遺言でできることは、大きく分けて3つあります。
1.相続に関すること
・相続分の指定
相続分とは、相続人が遺産を相続する割合のことです。民法では、配偶者と子供がいる場合、配偶者に2分の1、子供に2分の1の相続分と定められています。しかし、遺言によって、相続人の相続分を法定相続分と異なる割合に指定することができます。
・遺産分割方法の指定
遺産分割方法とは、実際に遺産をどのように分割するかの方法のことです。遺言によって、現物分割、代償分割、換価分割などの遺産分割方法を指定することができます。
・遺産分割の禁止
遺言によって、遺産分割を5年間禁止することができます。
・相続人の排除
相続人として当然に相続する権利がある推定相続人(配偶者、子供、直系尊属)を、遺言によって相続から排除することができます。
・遺言執行者の指定
遺言執行者とは、遺言の執行を任された人です。遺言によって、遺言執行者を指定することができます。
2.相続以外の財産の処分
・遺贈
遺言によって、相続人以外の人に財産を贈与することができます。
・寄付
遺言によって、財産を社会福祉法人や公益財団法人などに寄付することができます。
・信託の設定
遺言によって、信託を設定することができます。信託とは、財産を第三者に託し、その第三者が一定の目的に従って財産を管理・運用し、その財産の収益や残余財産を特定の人に渡す制度です。
・生命保険の受取人の指定
遺言によって、生命保険の受取人を指定することができます。
3.身分に関すること
・遺言認知
婚姻外の子供を自分の子供として認知することができます。
・未成年後見人の指定
未成年者の保護者として、未成年後見人を指定することができます。
・祭祀の承継者の指定
先祖の祭祀(お墓参り、法事など)を継承する者を指定することができます。
遺言を作成する場合の注意点
遺言を作成する場合、以下の点に注意が必要です。
・遺言の要件を満たすように作成すること
遺言は、上述した要件を満たすように作成する必要があります。要件を満たしていない遺言は無効となるため、注意が必要です。
・自分の希望や状況を十分に検討すること
遺言は、自分の希望や状況を十分に検討して作成する必要があります。ただし、遺言を作成した後に、自分の希望や状況が変わってしまった場合には遺言を変更することができます。
まとめ
遺言は、相続のトラブルを防ぎ、自分の希望通りに財産を承継させるために重要なものです。しかし、遺言を作成するには、法律で定められた要件を満たす必要があります。また、自分の希望や状況を十分に検討して作成することも大切です。
遺言を作成する場合は、専門家に相談することをおすすめします。専門家は、遺言の要件を満たした遺言書の作成をサポートしてくれるだけでなく、あなたの希望や状況を踏まえた遺言の作成のアドバイスもあり安心です。