遺書と遺言の違いとは

遺書と遺言、それぞれの「役割」

一方、「遺言書」は、法律に定められた形式に従って書かれるもので、財産の相続などに関する「意思」をはっきりと示すための法的書面です。こちらには明確な法的効力があります。

「遺言書」という選択~なぜ法的な準備が必要なのか~

・自筆証書遺言 手軽に書ける分、書き方を間違えると無効になるリスクもあります。家族に法的トラブルを残さないためには、正確な知識が必要です。

・公正証書遺言 公証役場で公証人が作成するため、形式不備や紛失、改ざんの心配がありません。費用はかかりますが、最も安全で確実です。

・秘密証書遺言 内容は秘密のまま存在だけを公証人に証明してもらう方法ですが、内容の不備についてはチェックされません。

「遺書」「エンディングノート」という選択~伝えるということ~

「想い」と「意思」をバランスよく伝えるために

これまで行政書士として多くの方の遺言作成や終活のお手伝いをする中で、私が繰り返し感じていることがあります。それは、「法的に正しい手続きをすること」と「心の中にある本当の気持ちを伝えること」は、どちらも同じくらい重要だということです。

私自身も、相談者の方々のさまざまな想いに触れ、常に心が動かされます。手続きだけが完璧であっても、そこに込められた想いが十分に伝わらなければ、家族間の理解や和解につながらないこともあります。逆に、想いだけが先行してしまうと、大切な財産や遺産をめぐって誤解やトラブルが起きることもあります。

だからこそ、私は遺言書という法的手段と、遺書やエンディングノートという想いを伝える手段をバランスよく活用することをおすすめしています。

さいごに

人は誰でも、自分がいなくなった後に、家族が穏やかに安心して暮らしていけるように願っています。ですが、「想い」は目に見えないものであり、ただ願うだけでは伝わりません。

ぜひ一度、「自分が何を伝えたいのか」「何を遺したいのか」を具体的に考える時間を作ってみてください。その結果、「遺言書」という形で意思を明確にし、「遺書」や「エンディングノート」で想いを丁寧に伝えることができれば、これ以上ないほどの「安心」を家族に遺すことができるはずです。

伝えたいことを伝えること。その難しさと向き合いながら、私自身もまた相談者の皆さまと一緒に考え続けていきたいと思っています。

※この記事は2022年5月5日に作成した内容を、最新情報や筆者の想いを反映してリライトしました。

相続対策は事前準備が大切です。お早めにご相談下さい。

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この記事を書いた人

栗田 政和

栗田 政和

東京都府中市出身、現在は立川市内に在住。
中央大学法学部卒。
大学卒業後、住宅メーカーに32年勤務した後独立し、
行政書士栗田法務事務所を開業。
現在は行政書士兼相続コンサルタントとして、
立川近郊の相続問題に悩む方の助けになるべく奮闘中。
趣味はバイクツーリング、温泉巡り、幕末歴史小説、プロ野球観戦。