「遺言」と「遺書」は字が似ているため、同じようなものとイメージされがちですが、「ゆいごん」と「いしょ」は別物です。ここでは、この違いについて様々な視点で整理します。
遺書と遺言の違い
・法的効力の有無
遺言には、書かれている内容に一定の法的効力があります。つまり、遺言書に記載された内容は、遺言者の死亡後に、法律上有効に実行されます。
一方、遺書には法的効力がありません。つまり、遺書に記載された内容は、遺言者の死亡後も、法律上は拘束力がありません。
・目的
遺言は、主に財産の承継に関する意思表示を目的としています。つまり、遺言書には、遺産を誰にどのように相続させるか、といった内容が記載されます。
一方、遺書は、主に本人の想いを伝えることを目的としています。つまり、遺書には家族や友人への感謝や、残された人へのメッセージなどが記載されます。
遺書と遺言の違いを理解する
・相続トラブルを防ぐことができる
遺言書を作成しておけば、遺産の承継に関する意思表示が明確に示されます。そのため、遺言書に従って遺産を相続すれば、相続人の間で争いが起こる可能性を減らすことができます。
一方、遺書には法的効力がありません。そのため、遺書の内容が遺産の承継に関するものであっても、遺言書と同様に有効に実行されるわけではありません。
・遺言者の意思を尊重することができる
遺言書を作成しておけば、遺言者の死後も、遺言者の意思を尊重して遺産を相続することができます。
一方、遺書には法的効力がないため、遺言者の意思が必ずしも尊重されるとは限りません。
・遺言書の作成をきっかけに、家族や親族と相続について話し合うことができる
遺言書を作成するために、家族や親族と相続について話し合う場合があります。この話し合いを通じて、遺言者自身の意思を家族や親族に伝えることができ、相続に関するトラブルを未然に防ぐことにつながる可能性があります。
さいごに
遺書と遺言は、どちらも死後に残す意思表示の書面ですが、その違いを理解しておくことは、相続トラブルを防ぐためにも重要です。
遺言書を作成することで、遺産の承継に関する意思表示を明確に示し、遺言者の意思を尊重することができます。
遺書と遺言の違いを理解し、自分に合った意思表示の書面を作成したいものです。