小学生の頃、「交通公社の時刻表」にはまっていたときがありました。全国の鉄道の時刻表が掲載されている月刊誌です。朝、東京を出発して北海道から九州まで、各駅停車や特急、寝台列車まで、時刻表を広げて空想の中で全国を旅します。妄想を楽しんでいました。
今回は「妄想」をテーマに妄想?してみます。
妄想の中の日本一周旅行
妄想とは、「被害妄想」「妄想癖」など一般的にマイナスのイメージとして捉えがちです。しかし今回の「妄想」はプラスとしての妄想です。
小学校の頃、密かに楽しんでいた妄想の中の日本一周旅行では、東京駅が起点です。妄想の世界では誰にでもなることができます。
お金持ちの設定では、新幹線のグリーン車を使います。宿泊は高級旅館に宿泊して食事は豪華な料理です。
貧乏旅行では、各駅停車で綿密に乗り換え時間を計算して旅にでます。寝台車やユースに泊まって予算を抑えます。
たった1冊の時刻表で、妄想はどんどん広がります。終着駅ではご当地の名物料理を調べるため、図書館で旅行ガイドブックを借りてきます。設定の中では、一人旅もあれば家族旅行もあります。高級旅館もあれば、ホテルやユースホステルも設定によって変わってきます。どんな料理を食べようか、予算をどうしようか。選択肢は無限です。せっかくなので、観光地巡りもします。そのために観光名所も調べます。ついでにお土産も選んでみます。
このように、妄想の中で立派に旅行が完成します。
妄想旅行が現実に
そんな密かな趣味が初めて現実になったのは、大学の卒業を控えた春休みを利用しての「卒業旅行」でした。
卒業式までの春休みの2月、友人と二人で約3週間のアメリカ旅行を計画しました。ズボラな友人は旅の行程全てを私に任せてくれたので、「地球の歩き方・アメリカ編」を完璧にマスターしての妄想は最大限に膨らみました。
結果、予算15万円での卒業旅行は、西海岸から東海岸、メキシコまで、夜間飛行や長距離バスを駆使しての大陸横断が実現しました。
妄想も、それが現実的なものとしてリンクすれば、「予定」となり「計画」となりうるのです。
妄想力を高めるために
大人になると「妄想力」が薄れてくると言います。子供の頃のような自由な発想で妄想することは、少なくなります。社会の常識やそれまでの経験に基づいた価値観が積み重なっていくので、当然のことです。それでも、妄想することは大切だと思っています。
妄想力を高めるために意識したいことを整理してみます。
・自分の価値観や常識を一旦横に置いておく
価値観や常識が妄想力を薄れさせてしまいます。「そんなことはありえない」「それは無理だ」という意識を一旦忘れてみます。
・さまざまなことに興味を持つ
さまざまなことに興味を持つことで、視野が広がり、妄想の幅も広がります。
映画や小説の世界や、まったく別の業界のことも妄想の世界では自由ですから。
妄想を活かす
日頃の業務の中でも「妄想」が活かされる場面に出くわすことがあります。
例えば、ご相談者のお話をお聞きするときにはご相談者の想いや立場を理解して斟酌することがとても重要です。
一方、そのご相談に登場する他の人たちの想いや立場を自分なりに勝手に「妄想」することもあります。そのことで違った視点からの捉え方が出来る可能性が広がります。
これからも、「妄想」を楽しみながら、活かしていきたいと思います。
さいごに
妄想旅行を楽しんでいた小学生当時、「コストパフォーマンス」とか「タイムパフォーマンス」などという言葉はありませんでしたが、予算や時間の有効活用を意識するようになったのは、この妄想旅行がスタートだったのかも知れません。