バブルの頃のバイトのおはなし

新年から、日経平均株価がバブル後の高値を33年ぶりに更新したニュースが話題です。そして、日経平均最高値を記録したのは1989年でした。その頃Kくんは大学4年生の頃でした。バブル真っ只中です。

今回は「バブルの頃のバイトのおはなし」です。

サークル

バブルの頃の大学のキャンパス内は、テニスサークル、スキーサークルなどたくさんのサークルで溢れかえっていました。サークルごとにウインドブレーカーを揃えるのもお決まりの光景です。

Kくんのいたサークルは、夏はテニス、冬はスキー、そしてメンバーでイベントのバイトをする欲張りなサークルです。

プロゴルフツアー

イベントのバイトの中心は、プロゴルフツアーのスタッフの仕事です。大手広告代理店の系列のスポーツイベント会社を通じて、各大学のサークル単位で招集されます。

プロゴルフの大会は主に平日が予選ラウンドで土日が決勝ラウンドになります。平日は大学の授業に合せてシフトを決めます。ひとつの大会で、学生バイトが100名くらい招集されます。

北海道から沖縄まで、ゴルフツアーは全国で行われますから、近場は車で、遠くの大会は飛行機や新幹線などで向かいます。気のあったサークル仲間との旅行気分です。夜宿泊するホテルでの他の大学や、地元の学生との交流も楽しみのひとつです。

仕事の内容

仕事の内容はイベント会社の社員さんの指示で振り分けられます。普通の会場スタッフから変わり種の仕事まで、実に様々です。

幾つかご紹介します。

・輸送本部：多くのギャラリーが安心・安全に観戦できるように、各セクション、スタッフに指示を出す本丸。

・ギャラリー駐車場誘導係：車で来場するギャラリーを誘導する係。学生バイトの主業務。ゴルフ場内の駐車場は選手専用になるため、近隣の空地などを利用します。

・バス誘導係：最寄りの駅やギャラリー駐車場から会場までバスで輸送するための誘導係。

・クラブハウス前誘導係：ゴルフ場内の駐車場に選手以外の一般の車を侵入させない係。

・ねずみ取り：広いゴルフ場で、無銭観戦客の侵入を見回る係。

・ゴミ処理係：コース内のギャラリー用のゴミ箱のゴミを軽トラで回収する係。

・機動部隊：本部の指示でどんなことでもこなす特命係。

因みに、テレビ中継でよく見かけるグリーン周りで「お静かに」の札を上げるスタッフも学生が多いですが、ゴルフ部の学生が主でKくんたちよりも、ずっとお上品です。

Kくんの失敗

Kくんがこのバイトをしていた頃の男子プロは、青木功、尾崎三兄弟、中嶋常幸の活躍が群を抜いていました。

その日のKくんの配置は「クラブハウス誘導係」です。前述のように、この係は選手・スタッフ以外の車はクラブハウス前に進入させてはいけません。選手・スタッフはフロントガラスに許可証を掲示しています。責任感の強いKくんは、1台1台チェックします。そんな中、許可証のない真っ赤な高級外車が爆音とともに進入してきました。

すかさず「とまれ」の旗を広げて通せんぼします。

Uターンしてもらうために運転席に近づくと、スモークガラスが下がった先には、優勝争いしていた尾崎直道プロがハンドルを握っていました・・・

その後、多くの大会関係者から冷ややかな目で見られたことは言うまでもありません。

バブルならでは

当時それぞれの大会で、各企業がスポンサーとして競うように景品やお土産を用意します。我々学生バイトにもその恩恵が回ってきます。飲料水メーカーの大会ではジュース飲み放題です。お菓子メーカーの大会ではお菓子食べ放題。酒造メーカーの大会では宿泊先にビールが届けられ、大宴会です。

予選ラウンドの前日には、プロアマ大会と称して選手と芸能人がラウンドします。プロアマ大会で機動部隊（特命係）に任命されていたKくんは、あぶない刑事のお二人をアテンド。めっちゃかっこいいタカとユウジに影響され、その後しばらくはサングラスを愛用しました。

当時人気絶頂のアイドルの二代目スケバン刑事を助手席に、クラブハウスからスタートホールまで運転した数分間も懐かしい思い出です。

さいごに

学生の頃は、ゴルフは「バイト」でした。社会人になってコースに出るようになりました。今は日曜日のテレビ観戦も楽しみのひとつです。

昨年、立川出身の菅沼奈々プロが軽井沢で初優勝を成し遂げました。息子の中学時代のクラスメイトの活躍を今年も応戦します。