新聞の見出しに政治家の発言が報道されると、その言葉だけが一人歩きして表面的なイメージが出来上がってしまうことが稀にあります。その言葉の本当の意味を伝えるための会見が開かれると、往々にして「釈明」と捉えられてしまいます。
私たちの日常でも、気をつけたいです。
今回は、「何を言ったか」ではなく「何故そう考えたのか」のお話しです。
何を言ったか
相手の話を聞く場面は様々です。
講演会で講師の話を聞く場面や数人でディスカッションをする場面。1対1で会話をする場面や相手から相談を受ける場面など。メディアを通じて一方通行で話しを聞く場面もあれば、対面で話を聞く場面もあります。
どちらの場面でも、その人が何を言ったかを正確に、理解して、把握して、共感することでより意見や主張を理解しようとします。
時にはメモを取り、時にはうなずきながら「何を言ったか」を受け止めます。
何故そう考えたのか
「何を言ったか」を受け止めるだけではなく、「何故そう考えたのか」を想像しながら聞くと、より興味深く聞くことができます。
その人の出身地や立場などプロフィールを参考に、勝手に想像しちゃいます。
政治家、アスリート、芸能人など有名人のインタビューも「何故そう考えたのか」を想像しながら聞いてしまいます。後日談の報道で、「やっぱりなー」もあれば「そうだったんだー」のときもあります。
実際に相手と会話するときも、「何故そう考えたのか」が頭をよぎります。表面的な言葉の意味だけではなく、その奥にある考え方の真意に興味があるからです。
直接聞けるのであれば、「何故そう考えたのか」質問してみます。質問の答えに「それはどうして?」とまた質問をします。質問を繰り返すうちに、最初の印象と違う意味だったと気付くこともあります。
そう考えると、「何を言ったか」だけに耳を傾けてしまい、思い込みで別の方向に会話が進んでしまわないように注意が必要です。
コミュニケーションを円滑にするために
相続の相談の場面でも、相談者の言葉に「何故そう考えたのか」と質問します。
その場にいない家族の言葉には「何故そう考えたのか」を想像します。できることなら想像ではなく、家族一人一人の「何故そう考えたのか」を聞いてみたいものです。
「何故そう考えたのか」は、コミュニケーションを円滑にするためにも役立ちそうです。相手と意見が合わない場合でも、相手の意見を否定するのではなく、なぜそのように考えたのかを理解しようとすることで、同じ方向への糸口が見つかることもありそうです。
「何を言ったか」ではなく、「何故そう考えたのか」を理解することで、思い込みで逆の立場だと感じていたことが、実は同じ方向に向いていたということもあるわけです。
「何故そう考えたのか」を自分に問いかけることも必要です。相手に意見を伝えるときに、自分の考えを客観的に見つめ直すきっかけになります。しっかりと言語化することで、意図しない誤解を避けることに繋がります。
さいごに
「何故そう考えたのか」と問いかけることで、本人が気付いていなかった本質が見つかるきっかけになることもあります。
相手にも、自分自身にも、その言葉に興味を持って「何故そう考えたのか」と問いかけたいものです。