相手との会話のなかで、どうしても誤りを指摘しなければならない場面があります。そんなとき、無意識に正論を伝えることに夢中になってしまい、相手の立場や気持ちに配慮していなかったとしたら、言葉を選んだつもりでも相手を傷つけていることがあるかも知れません。
今回は、「正論の伝え方」について考えてみました。
正論とは
正論とは、「道理にかなった議論や主張」という意味です。論理的に矛盾がなく、客観的な事実やデーターに基づいているものです。しかし、正論ばかりを振りかざすことは、必ずしも良い結果を生むとは限りません。正論は時に、相手を傷つけたり、反発を招いたりすることもあるからです。
正論を伝える場面
正論を伝える場面はさまざまです。
日常の何気ない会話の中で、相手の誤解や勘違いに気付いたとき。議論の中で相手が誤った解釈をしていることに気付いたとき。ご相談を受けているときに、相談者が間違った情報を鵜呑みにしてしまっているとき。
そして、相手がなんとなく誤りに気付いているときもあれば、全く疑っていないときもあります。
相手の受け止め方によっては「正論」が相手の逃げ場をなくして追い込んでしまうことにもなりかねません。
闇雲に間違えを指摘するのではなく、正論の伝え方に気をつけたいものです。
正論は伝わりにくい
正論を伝えることは大切ですが、実は伝わりにくいという側面もあります。
自分にとって正しいと感じていることが、相手にとっても正しいとは限りません。相手の状況や価値観を理解せずに正論をぶつけても、反発されてしまう可能性が高いです。
正論を主張するあまり、感情的になってしまうことがあります。感情的に話すと、論理的な思考が鈍り、相手を攻撃するような発言をしてしまう可能性があります。
正論を伝えるためには、論理的な説明が必要です。しかし、自分の意見ばかりを主張し、相手の意見を聞いていない場合は、論理的に話しているとは言えません。
正論を伝えるためには、相手を尊重することが大切です。相手の意見を否定したり、人格攻撃したりするようなことは論外です。
これらの点を意識せずに正論を伝えてしまうと、相手は反発したり、理解してもらえなかったりすることがあります。
正論を効果的に伝えるには
正論を伝えることは、自分の意見を押し付けることではないと意識することが必要です。
自分にとって正しいと感じていることが、相手にとっても正しいとは限らないからです。
そもそもその人にとっては正しいと信じていた場合、相手の状況や価値観を理解しないで正論を伝えても、傷つけてしまうことがあります。反発されてしまうこともあります。口論が目的ではありません。まずは相手の立場に立って考えることが大切です。
話し方にも注意が必要です。言葉遣いが硬くなってしまうと、上から目線と思われてしまいます。誠実に、理論的に、ときには根拠や事例も示しながら伝えたいものです。
まとめ
正論を伝えることは、相手を思いやり、共感を示しながら、誠実に、理論的に行うことが重要です。言葉遣いや話し方に気を配り、相手を尊重しながら、誤りを指摘するのではなく、共に正しい答えを探るような姿勢で臨みたいものです。