任意後見と法定後見は、後見人が被後見人の財産や生活をサポートする制度ですが、違いがあります。任意後見は自主性が高く、信頼できる後見人を選べますが、適切な支援が受けられない可能性があります。一方、法定後見は公正な支援が期待できますが、手続きが煩雑で自由度が低いです。自分や家族の状況に合わせて、適切な後見制度を選ぶことが重要です。
任意後見と法定後見の基本的な違い
任意後見と法定後見は、後見人が被後見人の財産や生活をサポートする制度ですが、それぞれに違いがあります。
任意後見は、被後見人や家族が自主的に後見契約を結び、後見人を決める制度です。後見人は、被後見人の財産管理や生活支援を行いますが、自由度が高く、契約内容は自由に決めることができます。
一方、法定後見は、裁判所が被後見人の状況を調査し、必要に応じて後見人を選任する制度です。被後見人が自ら意思を決定できない状態にある場合や、家族間のトラブルがある場合などに適用されます。後見人は、裁判所が選任するため、被後見人や家族の意見を考慮しながら、公正かつ適切な支援を行う必要があります。
任意後見の概要
任意後見は、本人が自ら後見人を選び、後見契約を締結する制度です。任意後見契約を結ぶことで、後見人が被後見人の財産管理や生活支援を行います。
メリット
・自分で後見人を選べるため、信頼できる人を選ぶことができる。
・契約内容を自由に決められるため、柔軟性がある。
デメリット
・後見人が専門職でなくても良いため、適切な支援が受けられない可能性がある。
・後見人が変更できない場合があるため、後見人の選択が重要。
任意後見は、自分や家族が信頼できる後見人を選ぶことができ、契約内容も柔軟に決められるため、適切な支援を受けやすい制度です。ただし、後見人の選択や契約内容には慎重に考える必要があります。
法定後見の概要
法定後見は、裁判所が被後見人の状況を調査し、必要に応じて後見人を選任する制度です。被後見人が自ら意思を決定できない状態にある場合や、家族間のトラブルがある場合などに適用されます。後見人は裁判所が選任し、後見人の適格性や適切な支援を監督します。
メリット
・裁判所が後見人を選任するため、公正な支援が期待できる。
・被後見人や家族が意見を述べる機会があるため、公平性が保たれる。
・裁判所が後見人の行為を監督するため、適切な支援が受けられる。
デメリット
・裁判所の手続きが必要なため、手続きが煩雑で時間がかかる場合がある。
・裁判所の判断により後見人が選ばれるため、自由度が低い。
法定後見は、公正な支援が期待できる一方で、手続きが煩雑であることがデメリットです。被後見人や家族の意見を尊重しながら、裁判所が選任した後見人のサポートを受けることが特徴です。
任意後見と法定後見の権限の違い
任意後見
本人(被後見人)が決めた任意後見契約に記載された範囲で、代理権が与えられますが、取消権がありません。
つまり、法定後見と異なり、「相続対策で贈与する」「保険契約をする」「孫の教育資金を贈与する」などの本人以外の利益のためでも、本人が望む意思として、任意後見契約の内容にすることができます。
一方で、取消権はありませんので、注意が必要です。
法定後見
代理権や同意権が与えられ、取消権もありますが、本人(被後見人)の利益になることしか、行うことができません。
厳密には、法定後見の3類型(法定後見の3つの支援制度)である後見・保佐・補助で異なりますが、その権限は民法できっちりと決められています。特に、日常生活に関する行為を除く法律行為を取り消すことができる権限は強力です。(保佐・補助には、それぞれ条件があります。)
一方、本人の利益になることしかできないので、例えば「相続対策で贈与する」「保険契約をする」「孫の教育資金を贈与する」などは難しいです。これは、親族への利益であって、本人の利益ではないからです。
まとめ
任意後見と法定後見の違いを整理しましたが、どちらを選ぶかは個々の状況によって異なります。任意後見は自主性が高く、信頼できる後見人を選べるメリットがありますが、適切な支援が受けられない可能性があるデメリットもあります。一方、法定後見は公正な支援が期待できますが、手続きが煩雑であることや自由度の低さがデメリットとして考えられます。自分や家族の状況に合わせて、適切な後見制度を選ぶことが大切です。