「気配り」と「気配」~伝える前に大切にしたいこと~

「気配りが大切です」とは、よく言われる言葉です。
相手の立場に立って考え、先回りして行動する。その姿勢は、日常生活でも仕事の場でも重んじられます。
ふと、似たようなもうひとつの言葉が、心に浮かびました。
それが「気配」です。

今回は、「気配り」と「気配」という二つの言葉を手がかりに、ご相談を受ける中で感じたこと、そして自分自身に向き合う中で気づいたことを綴ってみたいと思います。

気配りは「行動」、気配は「気づき」

「気配り」とは、言葉のとおり「気を配ること」。
相手が何を求めているのかを察して、先回りして動くことに重きが置かれます。

一方、「気配」はどうでしょうか。
それは、そこに“ただよう空気”のようなものであり、必ずしも言葉や行動に表れるものではありません。
けれども、気配は確かにそこに存在し、人は無意識のうちにそれを感じ取っています。

気配りは“自分から相手に向かって”行うもの。
気配は“相手や場の中にあるものを感じ取る”もの。

この違いを意識しておくことも大切だと感じます。

相談の場で感じる「気配」

私のもとにいらっしゃる方は、多くが相続や終活といった人生の節目に立たれた方です。
複雑な心情を抱えながらも、勇気を出してご相談にお越しくださいます。

そのような場では、単に「気配り」ができるだけでは、十分ではないと感じることがあります。
もちろん、相談内容を整理し、必要な手続きの流れをご説明することは大切です。けれども、本当に求められているのは、言葉にならない「気配」を感じ取ることなのではないか。
そのように思う場面が、たびたびあります。

沈黙、視線、語尾の揺れ。
そういった目に見えにくい部分にこそ、その方の本音が滲み出ていることがあります。
ご相談の内容よりも、もっと大切な何かが、その“気配”の中に潜んでいることもあるのです。

気配に寄り添うということ

あるご相談では、手続きそのものはシンプルでしたが、少しずつ話をうかがっていく中で、ご家族との関係性や、過去の出来事への複雑な想いが浮かび上がってきました。

そのとき私は、「何かをしてあげよう」と思うよりも、「ただ、感じていよう」と意識を変えてみました。
すると、ほんのわずかですが、相談者の方の表情や言葉に変化があらわれ、最後には「ここに来てよかったです」と、静かにおっしゃってくださいました。

この出来事を通して思ったのは、気配りよりも前に、「気配に気づく」ことのほうが大切なのかもしれない、ということです。

気配に気づくこと。
そして、それに対して焦らず、急かさず、ただ心を向けてみること。
それは時間のかかることでもありますが、このことが信頼関係の礎になる気がします。

自分自身の「気配」にも目を向ける

少し視点を変えて、自分自身に対しても「気配」という言葉をあてはめてみると、また別の気づきがあります。

日々の業務に追われていると、「こうしなければ」「早く進めなければ」と、つい効率や結果に意識が向きがちです。
そんなときこそ、自分の中に漂っている“気配”に目を向けてみることが大切です。

焦り、不安、あるいは根拠のない自信。
それらもすべて、自分の中にある“気配”です。
それを感じ取り、受け止めることができたとき、初めて「今、自分はどこに立っているのか」がわかるのかもしれません。

さいごに

「気配り」と「気配」、どちらも人と人との関わりの中で、大切な言葉です。

そして、まずは「気配」に心を傾けていたいと思っています。
気配に気づくからこそ、その人にとって本当に必要な気配りが生まれるのだと思います。
それは、相手に対してだけでなく、自分自身に対しても言えることです。

これからも、ご相談者の声にならない想いに、静かに耳を澄ませながら、その場にただよう“気配”に気づくことを大切にしていきたいと思います。

そこから始まる対話の中に、ひとつの「答え」が見えてくることを信じて。

相続対策は事前準備が大切です。お早めにご相談下さい。

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この記事を書いた人

栗田 政和

栗田 政和

東京都府中市出身、現在は立川市内に在住。
中央大学法学部卒。
大学卒業後、住宅メーカーに32年勤務した後独立し、
行政書士栗田法務事務所を開業。
現在は行政書士兼相続コンサルタントとして、
立川近郊の相続問題に悩む方の助けになるべく奮闘中。
趣味はバイクツーリング、温泉巡り、幕末歴史小説、プロ野球観戦。